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視線分析で学ぶ重機操作の極意④:熟練と若手に視線の違いは?

重機操作において、「どこをどのタイミングで見ているか」は品質を左右する重要な要素です。重機と言えば掘削や積み込み・敷き均しなどのバケットの動きに目を奪われがちですが、用途はそれだけではありません。バケットに付属するフックで物を吊り上げたり、キャタピラや排土板による地均し作業(転圧)にも使用されます。キャタピラによる転圧では、ちょっとした走行のズレが高低差のムラにつながり、後工程にも影響を与えることがあります。 では、熟練者は作業中どこを見ているのでしょうか?今回は、視線分析の結果から見えてきた熟練者と若手作業者の違いに注目し、熟練者の「コツ」を学んでいきましょう!
骨材敷き均し時

若手作業者は操作対象であるアームとバケットの両方をターゲットとして直接視野と間接視野で捉えながら作業している傾向があります。一方、熟練者はアームを見ることはほとんどなく、バケットを注視していることに加えて、敷き均し予定箇所を事前に確認し、作業の効率化を図っています。
注)骨材敷き均し(コツザイしきならし)とは、道路建設などで使用される骨材(砂、砂利、コンクリート用骨材など)を所定の場所に平らに広げ、一定の厚さになるように整える作業のことです。
キャタピラによる転圧作業時

若手作業者は、転圧作業時に周囲を丁寧に確認しているように見えるますが、走行予定範囲全体を満遍なく見ている傾向があります。一方、熟練作業者は明確に轍(わだち)の線状を意識して追いかけており、ムラのない転圧を実現しています。
なぜ轍を意識する必要があるのか?
キャタピラによる転圧では、同じライン上を正確に走行しないと、車体の自重による圧力が均一にかからず、地盤に高低差のムラが生じます。これを防ぐために、熟練者は常に前回の轍を視覚的に追い、そのラインに沿って次の走行を行っています。この「轍を読む力」は、現場経験を重ねる中で培われるものですが、意識的に線状の轍を追いかけることで、若手作業者も徐々に習得できます。
若手が真似したい熟練者のポイント
- 1. 骨材敷き均し時にはアームとバケットにとらわれず、次の工程箇所を事前に確認する
- 2. 転圧作業時には全体を満遍なく見るのではなく、前段の工程をなぞることで次の作業を意識するようにする
まとめ
重機に限らず現場で作業をする場合、次の工程を意識して先々を見る必要があります。若手作業者はこれらのポイントを意識して練習することで、より高品質な仕上がりを目指せます。